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花巻 しっぽく

「おぃ。そば屋ぁ、何ができるんでぃ?」
「できますものは花巻にしっぽくでございます」
「しっぽくぅあつくしつくれ」
時そばでのそば屋と男の会話。 花巻というのは浅草海苔の炙ったものを、かけそばの上に細かく揉みちらし たもので、安永年間(1772~1781)の頃に生まれたそうです。 今でも老舗のそば屋さんのメニューにはあり、 薬味に三つ葉やわさびをのせたりと色々ありますが、 花巻は、炙った海苔の香りとそばの風味を味わうものなので、 刻みねぎはのせないのがよろしいようで。
しっぽくは、 焼き鶏卵(玉子焼き?)、蒲鉾、椎茸、くわいの類をのせたもので、 現在でいうところの「おかめそば」だ、という人もありますが、 この色々な具がのっている様を卓袱料理に見立てたのが名前の由来だとか・・・。 時そばでは竹輪とかちくわぶが出てきますが、具については時代や、 屋台によっても色々あったのでしょう。
現在、東京では見かけませんが、京・大坂では 「しっぽく(うどん)」として出している店があるそうです。
余談ですが・・・。
JR東日本 奥多摩駅の改札を出て右にある立ち喰いそば屋さん。 ここの店は、そばの他におでんも扱っています。 メニューにも「おでんそば」というのがあって、 おでんを一品選んでかけそばにのせることができます。
ここでも江戸っ子は
「ちくわぶなんざ病人の食いもんでぇ」
とか言って、やっぱり竹輪を選ぶのでしょうかねぇ・・・。
参考資料:
  • 喜田川守貞著 『守貞謾稿』
  • HP『そばの散歩道』
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